ファブラボ(FabLab)という言葉を聞いたことありますか? ファブラボとは、Fabrication(ものづくりのFab)とFabulous(楽しい・愉快なFab)がかけあわされた造語で、デジタルからアナログまでの多様な工作機械を備えた実験的な市民工房のネットワークで、個人による自由なものづくりの可能性を拡げ、「自分たちの使うものを、使う人自身がつくる文化」を醸成することを目指しているものです。
ファブラボの取り組みは、2000年前後に米国マサチューセッツ工科大学(MIT)のニール・ガーシェンフェルド教授の手により始められました。教授がMITで始めた講義「ほぼあらゆるものをつくる方法」をきっかけに生まれたファブラボは、今や世界120ヵ国以上に2,000以上存在しているといわれ、自由で楽しいものづくりの現場からは、たくさんのクリエイティブな作品が日々生み出されています。
2024年1月に旧秋元小学校を複合整備しリニューアルオープンした清和地域拠点複合施設「おらがわ」工芸室にコンピューター制御で自在に木工加工できるデジタル工作機器(CNCルーター)が導入されました。CNCとは、コンピューター数値制御(Computer Numerical Control)の略で、回転している工具(ドリル)をコンピューターの指令によって動かし、自動で木材の切断や彫刻する機械。ファブラボの主要マシンのひとつです。
大量生産・大量消費によるものづくりは工場の大型工作機によるものでした。技術の進歩により工場で使われていた機械が小型・安価になり、個人が気軽にものづくりに参入できる環境ができつつあります。「おらがわ」に導入されたCNCルーターはその機械のひとつ。これまでものづくりに携わっていなかった個人でも自由で高度なものづくりに参入することが可能になります。
君津市では地域資源の活用や地域課題解決へのデジタル技術の活用と、地域の特色を生かしたものづくりやフリーランス型のビジネス創業・商品づくりを促進しています。その最初の試みとして、CNCルーターの可能性をレビューするワークショップを私が担当デスクとして開催しました。
清和にはたくさんの森林資源があります。本ワークショップは、清和の森林資源を利用した清和ならではの木工作品を、ここ「おらがわ」から発信することで、地域に新しいイノベーションや経済、新しい働き方を生み出していこうという試みの第1歩になります。
まずはコミュニティ清和オフィスにてCNCルーターとはどんなものかの説明と製作手順の解説。続いて工芸室に移動し、実際にCNCルーターが木材を削る実演を見ていただきました。最後にコミュニティ清和オフィスに戻り、自分ならなにを作りたいかの意見交換を行いました。
参加者の声:
◎楽しみにしていた。椅子とか作りたい。
◎家の表札を作りたい。子どものおもちゃを作りたい。
◎おらがわで子どもの遊び場をつくることを提案している。そこで使うものを作りたい。
◎コースターやまな板など。天然木の特徴を活かしたものづくり。
◎アルミ鋳造をしているが、その鋳型になるものが木でできないか。
◎時計とか、からくり人形とか作りたい。
まだファブラボという形にはほど遠いですが、現役美大生やアルミ鍛造でものづくりしているプロの方にもご参加いただき、清和からファブなクリエイティブが生まれ、拡がっていく可能性を感じました。来年度は参加者による実際のものづくりに着手予定、どんな作品が生まれるか楽しみにお待ちください。
FabLab Japan Network
http://fablabjapan.org/
むらをつくる。むらをまもる。いつまでも。- コミュニティ清和
https://seiwa-town.com/